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稟議書の管理は、多くの企業で見過ごされがちな業務課題の一つです。
紙・電子を問わず、どこに保管されているのかわからない、進捗状況が把握できない、セキュリティ対策が不十分といった状態では、組織全体の承認業務に支障をきたします。
特に、ルールが曖昧なまま稟議書を運用していると、属人化や情報の分散、対応漏れといった管理上の問題が発生しやすくなります。
この記事では、稟議書を「どう管理するか」という視点から、よくある課題とその解決策を解説します。
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稟議書の管理で起こり得る課題
稟議書の管理がうまくいかない背景には、書類としての稟議書を「どのように扱うか」が決まっていない、もしくは適切に決められていないことが要因として考えられます。
こうした課題は管理の仕組みを整えなければ解決が難しく、承認業務全体の遅延や手戻りを引き起こしてしまいます。
では、具体的にどのような課題が考えられるのでしょうか。
一つずつ見ていきましょう。
稟議書の所在や進捗が把握しづらくなっている
稟議書の承認フローで紙を用いている場合、「いま誰が持っているのか」がわからなくなることは珍しくありません。
特に回覧中に担当者が不在だったり、どこかで承認が止まっていたりすると、承認プロセスが長期間滞るほか、稟議全体の管理が難しくなってしまいます。
また、差し戻しや再提出が発生した際に、その履歴や理由が十分に記録されていないケースも多く見られます。
このような状況では、関係者への確認作業が発生し、管理側の工数が増加します。
誰が、どの段階で、何をしたのかが可視化されていないと、稟議業務全体の透明性も失われがちです。
稟議書が適切に整理できていない
稟議書が適切に分類・整理されていないと、必要な情報を探すのに余計な時間がかかります。
フォルダ構成や命名ルールが統一されていない場合、誰がどこに何を保存したのかがわからず、属人的な運用になりやすくなります。
年度別や案件別などの分類が不明確になっていると、過去の稟議内容を参照したいときに見つけ出せないこともあります。
整理が不十分な状態では、誤って同じ案件について二重稟議をしてしまうリスクも否定できません。
こうした課題は紙に限らず、電子で稟議書を管理している場合も起こり得ます。
保存用のフォルダが複数存在したり、ファイル名がバラバラになっていたりすると、管理は煩雑になります。
情報漏洩や不正アクセスの対策ができていない
稟議書には、契約金額や取引先情報、社内の意思決定の内容など、機密性の高い情報が含まれています。
こうした情報が誰でも閲覧できる状態にあると、情報漏洩や不正利用のリスクが高まります。
アクセス権限が適切に設定されていなければ、意図しない閲覧や編集が行われるリスクがあります。
稟議書の保存期間や廃棄ルールがあいまいになっている
稟議書をいつまで保存し、いつ廃棄するかというルールが曖昧なまま運用されている企業は少なくありません。
保存期間が定まっていないと、過去の稟議書が際限なく保管され続け、保管スペースやストレージを圧迫してしまいます。
廃棄の基準が明確でないと、不要な情報が混在して検索性や管理性を損なう原因にもなります。
稟議書の管理を効率的にする方法
稟議書の管理を効率化するには、社内ルールの整備やシステム導入など、さまざまなアプローチが必要です。
ここでは、具体的な改善方法について解説します。
保管と共有に関するルールを定める
稟議書の適切な管理には、保管場所や共有方法のルールを明確に定めることが不可欠です。
現状の保管方法と共有手順を洗い出し、ルールの抜けやバラつきがあれば見直してみましょう。
稟議書の所在や進捗を追跡できる仕組みを整える
「稟議書は誰が預かっているのか」「承認はどこまで進んでいるのか」といった情報が把握しづらい状態は、効率的に稟議書を管理できているとは言えません。
特に紙媒体やメール添付で運用している場合、回覧の途中で稟議書の所在が不明になる、あるいは誰かの手元で長期間止まってしまうといったトラブルが起きやすくなります。
このような課題を解消するには、稟議書の進捗状況や回覧履歴が一目でわかるような仕組みを整えることが重要です。
システムを導入する
稟議書管理の効率化において、システムの導入は有効な手段です。
ワークフローシステムなどを活用することで、より効率化が期待できます。
PCやスマートフォンで稟議書の申請を行い、Web上で承認ができるため、場所や時間の制約がなくなります。
また、同時に複数の承認者に稟議書を回すことが可能になり、承認プロセスの時間短縮が期待できます。
電子化された稟議書はシステム上に保管されるため、紙媒体の書類をファイリングする手間や時間、保管スペースの削減にもつながります。
稟議の運用をスムーズにするシステムの導入時に押さえたいこと
稟議のプロセス全体をシステム化することで、稟議書の管理がより効率的に進みやすくなります。
しかし、自社のニーズに合ったシステムを選ばなければ、期待した効果が得られない可能性があるため注意が必要です。
ここでは、システム選びのポイントと導入時の注意点について詳しく解説します。
システム選びのポイント
稟議書管理のシステムを選ぶ際のポイントの一つは、従業員が操作しやすいかどうかです。
いくら高機能なシステムでも、操作が複雑で従業員が使いこなせないのであれば、導入効果は得にくいでしょう。
また、既存のシステムとの連携が可能かどうかも重要な選択の判断基準です。
システム間でデータを共有できれば、二重入力の手間が省け、さらなる業務効率化につながります。
さらに、カスタマイズ性も考慮すべきポイントです。
自社の稟議フローに合わせてシステムをカスタマイズできるかどうかで、導入後の使い勝手が大きく変わります。
システム導入時の注意点
システム導入時には、自社の規模に合ったシステムを選ぶことが重要です。
利用する人数や処理する稟議の量に適していないシステムを選んでしまうと、費用対効果が悪くなる可能性があります。
最低限のシンプルな管理をしたいと考えている中小企業が、大規模企業向けの多機能なシステムを導入しても、初期費用や運用コストが割高になり、費用対効果は得づらいです。
また、導入後のサポート体制をしっかりと確認しておくことをおすすめします。
従業員への教育・研修も忘れてはいけません。
新しいシステムの導入によって業務プロセスが変わることへの抵抗感を和らげ、スムーズな移行を実現するためには、十分な説明と研修が必要です。
システム導入のメリットを従業員に理解してもらい、積極的な活用を促すことが、導入効果を最大化するカギとなります。
効率的な稟議書管理で業務改革を実現しよう
稟議書管理の効率化を実現するためには、社内ルールの整備や稟議フローの見直し、そしてシステムの導入が効果的です。
システムの導入は稟議書管理のプロセスの自動化や進捗の可視化が可能となり、生産性向上が期待できます。
また、システム導入はペーパーレス化を促進し、保管スペースの削減や検索性の向上といったメリットをもたらします。
企業のニーズに合ったシステムを選び、効率的な稟議書管理を実現しましょう。
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