この記事の目次

決定事項は、ビジネスを円滑に進めるために大切な要素ですが、その情報が正しく伝わらなければ意味がありません。本記事では、決定事項が社内に浸透しない理由と、効果的な情報共有を実現する方法を詳しく解説します。
決定事項とは
決定事項とは、何らかのプロセスを経て最終的に決まった内容のことです。ビジネスや行政の場でよく使われ、会議やプロジェクトの進行において重要な指針として扱われます。
決定事項は一度決定された内容であるため、基本的に変更されることはありません。しかし、状況の変化や新たな情報が出てきた場合には、柔軟に見直しを行う必要が生じることもあります。
決議事項との違い
決定事項と決議事項は、いずれも物事を決める行為です。しかし、意味や使われ方に違いがあります。
● 決定事項:企業や個人活動で日常的に行われる意思決定
● 決議事項:法的な根拠に基づき正式に決められる事項
決定事項は、部門内の会議や上司の判断などで決められます。決定の際、法的手続きは不要です。
決議事項は株主総会や取締役会などの法定機関での議決が求められます。決議には、定足数や議決権の行使方法などの法的手続きが必要です。
両者の違いを正しく理解したうえで、使用するとよいでしょう。
決定事項の類語・関連語・対義語
ここでは、決定事項の類語、関連語、対義語を紹介します。
まずは、類語です。「既に決まった状態」を示す言葉が、類語にあたります。
- 単語
- 意味
- 決まりごと
- こうあると決められたルールや規則のこと
- 確定事項
- 最終的に決められた状態、変更ができないこと
- 決議事項
- 会議を通して決まったこと
次に、関連語です。関連語には、決定事項の伝達や共有に関わる表現が含まれます。
- 単語
- 意味
- 連絡事項
- 社内にて全体で共有しておくとよい内容のこと
- 申し送り事項
- 業務をスムーズに進めるために確認・検討をしてほしい内容のこと
最後に対義語です。対義語は、決定されていない状態やプロセスを表す言葉が挙げられます。
- 単語
- 意味
- 未確定事項
- まだ現状決まり切っていない内容
- 保留
- その場で決めずに問題や決めごとを先送りにすること
これらの語を理解することで、「決定事項」の意味や使い方をより深く把握できるようになります。
決定事項を文書化して残すべき理由
決定事項は口頭で伝えるだけでなく、一般的に文書化するケースが大半です。ビジネスシーンにおいて、曖昧さはトラブルの要因となります。文書化をすることで、トラブルを避けたり、信頼性の向上に繋がります。ここでは、決定事項を文書化することの意義と、その目的や効果について詳しく解説します。
情報を共有できる
決定事項を文書に残す最大の目的は、関係者全員に情報を等しく伝えるためです。
口頭や記憶だけに頼ると、伝え漏れや認識の違いが生じやすくなります。文書化すれば、認識のずれを防ぎ、正確な情報共有が可能です。
例えば会議で決まった新しい業務フローを文書化しておけば、会議に出なかった人にも決定事項を正しく伝えられます。過去の決定事項を振り返る際にも、文書があれば容易に確認できます。
組織全体の認識統一や業務効率化のためにも、決定事項の文書化が大切です。
付帯するタスクを明確にする
決定事項の文書化は、決定に伴って付帯するタスクを明確にします。
会社の会議や上司の指示で決められた事項には、多くの場合具体的な実行作業が付随するものです。文書化することでそれぞれが行うことが明確化し、業務の円滑な遂行に役立ちます。
タスクを文章化する際は単なる作業内容だけでなく、優先順位や期限も重要です。具体的には、以下の内容を記載するとよいでしょう。
● 誰がやるか
● いつまでにやるか
● 担当する内容
文書化された決定事項は進捗管理に役立ち、組織の実行力を高めます。
責任の所在が明らかになる
文書化によって誰が何を担当し、どのような責任を負うかが明確になり、責任の所在が分かりやすくなります。文書化がなければ、「誰が担当だったか」「いつ決まったのか」が曖昧になり、進捗の停滞が生じるリスクが高まります。
決定の背景やプロセスも記録すると、責任の所在が分かりやすくなり、問題発生時の原因究明や再発防止に役立つでしょう。
例えば会議内で「潜在的な見込み顧客リストを、○○主導で今週中に作成しよう」となった場合、議事録に「担当者名と期日」をあわせて文書化します。全員に担当者と期日が共有されるため、遅れが生じた場合も、誰に確認すればよいかが一目瞭然です。
文章にすることで各担当者が自身の責任を自覚し、連携して業務に取り組めるようになります。
コンプライアンスの順守に役立つ
決定事項の文書化は、法令や規制の順守を証明する手段として有効です。
取締役会議事録や雇用契約書などの重要な決定事項には、法律で作成や保存が義務付けられているものもあります。義務付けられていない決定事項であっても、文章化することで契約内容の誤解や法令違反の疑いを防ぐことが可能です。
文書は、万が一の際に監査法人や監督当局への説明資料として活用することもできるでしょう。
決定事項が共有されない原因
重要な決定事項が関係者に伝わらず、現場が混乱してしまうと物事がうまく進みません。決定事項が共有されない理由を3つ解説します。決定事項がスムーズに共有されるための参考にしてください。
決定事項を共有する仕組みがない・非効率的である
組織内で決定事項が適切に共有されない原因として、効果的な共有システムの不在または非効率な仕組みが挙げられます。
効果的な仕組みがなければ、誰にどのように共有するべきか判断ができず、情報が全員に伝わりづらくなります。仕組みがあっても使いづらかったり、整理ができなかったりすると、共有が難しくなるでしょう。
例えば複数の共有ツールがある場合、情報の所在が不明で現場が混乱するケースがあります。「全決定事項は毎朝管理ツールに記録し通知する」と共有する仕組みを決めておけば、効率よく情報が伝えられます。
情報が適切に整理保存され、必要な人が必要なときにアクセスできる環境を整えることが大切です。
決定事項の共有に関するルールがない
決定事項が適切に共有されない根本的な原因として、明確な情報共有ルールの欠如が挙げられます。
情報共有ルールがないと、以下に関する情報の共有の方法や対象が個人の判断に委ねられます。
● 何を
● 誰に
● いつ
● どのように
重要度の認識にばらつきが生じ、本来必要な情報が届かない事態が頻発するケースが珍しくありません。判断基準がないために必要のない情報が共有され、重要な決定事項が埋もれてしまうケースも見られます。
組織内で情報の重要度を分類し、セキュリティ面を考慮したうえで共有ツールを統一することが大切です。
決定事項の共有が重視されていない
組織内で決定事項の共有が重要視されていない場合、共有されにくくなります。
組織内の縦割り構造や強い競争意識がある場合、「決定事項を共有しなければならない」意識が乏しく、個々の部署やチームが独自の判断で動く傾向が見られます。
以下のような状況の場合は、組織の意識改革を促す必要があるでしょう。
● 上司への質問がしづらい環境
● 部署間のライバル意識が強い組織構造
● 情報共有が手間と認識される風潮
情報共有の重要性を、社内全体で認識するための取り組みが求められます。
決定事項を社内で共有する方法
社内で決定事項を共有する際、迅速で正確に情報を伝えるにはどのようにすればよいのかと悩む担当者も多いでしょう。
ここからは、組織内での決定事項の共有に関する効果的な方法を7つ解説します。情報共有の質を向上させる参考にしてください。
ワークフローシステム
決定事項を社内で円滑に共有する方法として、ワークフローシステムの導入が挙げられます。ワークフローシステムとは業務プロセスを可視化し、書類申請や重要な決裁を電子化・自動化するツールのことです。
例えば紙ベースで行っていた承認作業をワークフローシステムに移行すると、決裁までの時間が半減し、決定事項を関係者全員にリアルタイムで共有できるようになります。
後から決定の経緯を確認が可能であり、組織全体の業務効率を向上させる効果が期待できます。
関連記事はこちら
⇒ワークフローとは?意味・作り方・図解・導入の全知識【2025最新版】
会議やミーティング
会議やミーティングは、決定事項を社内で共有する効果的な方法です。参加者同士の意見交換や質疑応答が可能であり、誤解や伝達ミスを防ぐ効果が期待できます。
近年ではオンライン会議システムの普及によって、場所を問わずリアルタイムで情報共有ができるようになりました。
ただし、会議に参加できるのは時間が合うメンバーに限られます。また、会議の内容はその場に残らないため、議事録や録画の手間がかかる点がデメリットです。
回覧板
回覧板は確認した内容に押印や署名をするため、誰が情報を確認したかが明確です。
ただし時間がかかるうえ、紛失のリスクがあります。さらにリモートワークの環境では物理的な回覧板が使えないため、情報が届かないことがあります。
回覧板は昔から決定事項の伝達に使われてきました。しかしデジタル化の進展によって、より効率的な手段を検討する会社が増えています。
ホワイトボード
ホワイトボードは、現場や工場などパソコンが設置しにくい場所で有効な決定事項共有ツールです。設置場所を工夫すれば全員が定期的に情報をチェックでき、フォーマットも自由にアレンジできます。
また、会議中に会議の決定事項をホワイトボードにまとめて共有することで、認識のずれを防げます。
ただし、リモートワークや情報蓄積には不向きです。ホワイトボードの内容をデジタルツールに保存する工夫が求められます。
メール
メールは、全社員や特定部署に一斉送信できる便利なツールです。多くの人が使い慣れているため、スムーズに情報伝達ができます。テキストに加えて動画や資料を添付すると、詳細な情報が共有可能です。
ただし、受信確認に工夫が求められます。メール開封通知設定をしたり「閲覧後に返信を希望します」と一文添えたりすることが望ましいでしょう。
チャットツール
チャットツールは手軽に情報を共有でき、部署やチームごとにグループを分けられる便利なツールです。決定事項をリアルタイムで伝達できるため、スピード感をもって共有したいときに便利です。ファイル添付も可能で、資料の共有が簡単にできます。
ただし、時系列表示されるため、過去情報が流れてしまうデメリットがあります。過去の決定を振り返りたい場合は管理ツールと併用すると便利です。
グループウェア
グループウェアとはプロジェクト管理機能や掲示板、オンライン会議など多様な機能が統合されているツールです。社内の決定事項を共有するだけでなく、プロジェクトやスケジュール管理に使用できます。
例えば社内のプロジェクトの役割分担を掲示板機能で共有し、プロジェクト管理ツールで進捗を確認する使い方が可能です。
ただし、機能が多すぎて活用しきれないケースが珍しくありません。他の伝達方法と比べて費用がかかるときも多く、組織のニーズに応じてツールを選定することが大切です。
ワークフローシステムで実現する決定事項の伝達
決定事項の伝達方法に悩んだ場合は、ワークフローシステムの導入をおすすめします。
ここでは、ワークフローシステムを活用した場合のメリットを3つ解説します。ワークフローシステムの導入を検討する方は、参考にしてください。
伝達の進捗が可視化できる
伝達の進捗を可視化し、情報共有を漏れなくできる点がワークフローシステム導入のメリットです。
ワークフローシステムは申請状況などをシステムで一元管理するため、誰でも一目で進捗状況を把握できます。業務プロセス全体が可視化され、必要な手続きや処理が明確になれば、業務の属人化を防ぐ効果が期待できます。
ワークフローシステムで決定事項の伝達を可視化することで、業務効率と情報共有の強化が図れるでしょう。
時間や場所を選ばず確認できる
決定事項の伝達が時間や場所をとわず、素早く行える点もメリットです。システムを導入すると、インターネット環境さえあればPCやスマートフォン、タブレットなどのモバイル端末からでも確認や承認ができます。
例えば以下のような使い方ができます。
● 営業担当者:外出先でスマートフォンにて確認
● 在宅勤務者:自宅のタブレットにて決定事項の伝達
● 海外出張中の管理職:宿泊先にてパソコンで承諾業務
全ての関係者がリアルタイムで必要な情報にアクセスできる環境は、意識決定のスピードアップに貢献します。
内部統制を強化できる
内部統制を強化できる点も大きなメリットです。ワークフロー上では誰がいつ申請し、承認・決裁をしたのかという記録を残すことができます。これによって、不正を早期に発見したり、監査対応などが簡単におこなえます。
内部統制の脆弱性は、経営陣や従業員の不正、重大な法令違反を見過ごすリスクを高めます。これは、企業存続を揺るがす事態に発展しかねません。
ワークフローシステムは、人為的なミスを徹底的に排除し、ルール遵守を厳格にチェックする機能を備えています。これにより、内部統制を劇的に強化し、企業をリスクから守り抜くことができるのです。
まとめ
ビジネスにおける決定事項とは、何らかのプロセスを経て最終的に決まった内容で、主に会議やプロジェクトの指針となるものです。意思決定をした後、文書化した内容を素早く従業員に情報共有をおこなうことで、方針をすぐに反映することができます。
しかし、以下の様な問題により決定事項が浸透しないケースもあります。
● 共有システムの不備
● 情報共有ルールの不足
● 共有意識の低さ
こうしたことが原因で、現場の混乱や伝達ミス、進捗に影響を及ぼしかねません。
ワークフローシステムは、このような課題を解決するうえで有効なツールです。
株式会社コラボスタイルの「コラボフロー」は、決定事項をシステムを通じて発信することができるため、従業員はすぐに情報を確認することができます。こうすることで、経営陣の決定事項を理解し、不備や漏れなく業務を遂行できるでしょう。
こうした情報共有を素早く行いたいとお考えの方は、お気軽にコラボフローの資料をダウンロードください。
ワークフローシステムを活用し、稟議書の申請・承認業務の効率化を進めてみてはいかがでしょうか。
ワークフローシステム「コラボフロー」は直感的な操作でカンタンに社内ワークフローの構築が可能です。