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- ワークフローはエクセルで自作できる?手順や専用ツールとの違い
日々の業務をスムーズに進めるために欠かせないのが「ワークフロー」です。 専用ツールの導入を考える前に、まずはエクセルで手軽に仕組みを整えたいという人もいるのではないでしょうか。 この記事では、エクセルでワークフローを作る際のメリットやデメリット、基本的な作成手順から、専用ツールとの違いや切り替えのタイミングまでを詳しく紹介します。
この記事の目次
一般的には表計算ツールとして使われるエクセルでワークフローを作るとどのような利点があるのでしょうか。
まずは、エクセルを使ってワークフローを作るメリットについて解説します。
エクセルは幅広い業務で使われるソフトウェアです。
エクセルを使えば新たなソフトウェアを準備したり、操作方法を覚えたりする必要がなく、すぐにワークフローの制作に取りかかれます。
複雑な計算を用いない限り、特別な知識がなくても表や仕組みを作れるので、初めてワークフローづくりに取り組む人でも試しやすいと言えるでしょう。
すぐに使い始められる手軽さが魅力です。
エクセルを既に業務で使っているのなら、導入にあたって追加の費用は発生しません。
初期費用をかけずに仕組みを整えていけるため、「いきなり大がかりなシステムは導入しづらい」と感じている企業にとっては着手しやすいでしょう。
コスト負担なくスタートできるのは大きな利点です。
エクセルは自由度の高いツールです。
行や列の構成、項目の内容、色分けなど、業務内容やフローに応じて細かく調整できます。
既存のテンプレートに無理やり合わせるのではなく、自社のやり方に合わせて設計できるため、現場の混乱を防ぐことにもつながります。
柔軟なカスタマイズ性がポイントです。
エクセルなら「とりあえず作って、使いながら直していく」といった進め方も可能です。
例えば、「申請欄がわかりにくい」「進捗状況を入れる項目が必要」といった声を反映させながら、少しずつ使いやすい形に整えていけます。
紙や口頭のみの運用からいきなり複雑なツールに移行するのではなく、まずは小さく始めてみたいという組織にとって、エクセルは適しています。
運用しながらの改良がしやすいです。
続いて、エクセルでワークフローを組む際のデメリットを解説します。
特にチームや業務の規模が大きくなったときは、手間の増加や属人化といった問題が起こりやすいです。
エクセルは柔軟に設計できる一方で、通知機能や承認フローの自動化といった仕組みは標準機能として備わっていません。
そのため、「申請したら上長に通知する」「承認フローを進めたら次の担当者に連携する」といった一連のやり取りは、別途メールを送ったり、口頭で伝えたりと、人の手で運用する必要があります。
自動化が難しいことは大きなデメリットです。
複数人で同時に作業する場面では、エクセルの運用に注意が必要です。
エクセルの仕様の関係でファイルの保存場所がバラバラになったり、誰かが編集している間は他の人が操作できなかったりと、業務が止まってしまう場合があります。
最新のファイルがどれなのかわからなくなったり、申請のステータスが見えにくくなったりすることもあり、情報共有の面ではやや不便な点が見られます。
エクセルで作ったワークフローは、作成者の工夫や暗黙のルールに頼る部分が大きくなりがちです。
ワークフローがどのような意図で設定されているかが明確でないと、他の人が中身を見てもすぐに理解できず、更新や修正が難しくなります。
その結果、特定の担当者しか扱えない「属人化」した状態になり、業務を引き継ぎするときに混乱するリスクが伴います。
実際にエクセルでワークフローを作成するにはどのような手順を踏めば良いのでしょうか。
ここでは、エクセルでワークフローを作成する際の基本的な流れを紹介します。
最初に行いたいのは、業務の手順を可視化することです。
誰がどのような順番で作業を行うのか、どこで承認や確認が必要なのかを整理してみましょう。
例えば、備品購入のワークフローであれば「申請者→所属部署の上長→総務部」といった形です。
一連の流れが明確になると、エクセルで作るべき項目や構成もはっきりしてきます。
業務の流れの見える化が第一歩です。
次に、申請者が入力する項目を整理します。
「申請日」「氏名」「申請内容」「金額」「承認状況」など、業務内容に応じて必要な欄をエクセル上に配置しましょう。
表形式にまとめておくと、一覧性も高まり、後から検索・集計もしやすくなります。
記入ミスを防ぐためにも、入力するセルに説明文やプルダウンをつけておきましょう。
申請項目の明確化がポイントです。
エクセルの関数や条件付き書式を使えば、申請の状態や承認状況をわかりやすく表示できます。
例えば、「承認済み」「保留」「却下」といったステータスに応じてセルの色を変える、申請日から一定日数を過ぎたら色が変わる、といった設定が可能です。
また、IF関数を使えば、「承認者の欄が空欄なら“未対応”と表示する」といった仕様にもできます。
関数と色分けで視覚的に管理できます。
エクセルでもワークフローを構築することはできますが、運用が広がっていくと「もっとスムーズに進めたい」「管理の負担を減らしたい」と感じる場面が出てくるかもしれません。
そこで検討したいのが、ワークフロー専用のツールです。ここでは、専用ツールならではの機能や特徴について解説します。
専用ツールの大きな特徴の一つが、自動で申請フローが進む仕組みです。
例えば、申請者が入力した内容は自動的に上長に届き、承認されると次の担当者へと送られます。
エクセルでは担当者ごとに手動でファイルを回したり、対応状況を更新したりする必要がありますが、専用ツールならそれらが不要になるのです。
自動化された申請・承認フローが強みです。
エクセルの場合、申請が提出されたことを別途メールで知らせたり、電話や口頭でリマインドしたりと、運用に手間がかかる場合があります。
一方、専用ツールでは、申請や承認が発生したタイミングで自動的に通知が届く仕組みが備わっています。
また、期日が近づいても処理が行われていない場合には、リマインドを送る設定も可能です。
こうした通知機能があれば担当者が対応を忘れてしまうリスクが減り、申請から承認までの流れが自然とスムーズになります。
専用ツールでは、誰がいつどのような操作を行ったかが記録されます。
例えば、「この申請内容はいつ誰が変更したのか」「なぜ承認が遅れたのか」といった情報もログで確認可能です。
変更ログが残ると、トラブルの原因を追跡したり、社内ルールを見直したりする際に役立ちます。
履歴管理のしやすさはエクセルにはないポイントです。
エクセルでのワークフロー運用は、少人数・シンプルな業務であれば十分に機能します。
ただし、運用を続ける中で扱いにくさや限界を感じる場面も出てくるでしょう。
ここでは、専用ツールへの切り替えを検討すべきタイミングを紹介します。
最初は少人数で回していたワークフローも、部門をまたぐようになると承認ルートが複雑になり、エクセルだけでは管理が難しくなります。
例えば、申請内容によって承認者が変わる、金額によって回覧ルートが分かれる、といった条件分岐が増えると、表の設計やメンテナンスの負荷も大きくなります。
関係者が増えたタイミングは切り替えのサインです。
エクセルを用いた運用では、申請されたことや処理が進んでいないことに誰も気づかない、といった事象が起きやすくなります。
特に、担当者が不在のときや複数人で運用していると、申請が埋もれてしまうケースも多いです。
こうした「対応漏れ」や「進捗の不透明さ」が続くと、ワークフロー全体の信頼性にも影響してきます。
運用の不安定さが出てきたら、専用ツールの検討を。
申請内容が経費や契約、個人情報に関わるような場合には、情報の取り扱いの明確化が求められます。
エクセルでは、ファイルの編集履歴やアクセス権限の管理に限界があり、トラブルのリスクを完全には防げません。
誰がいつどんな操作をしたのかを記録し、必要な人だけに見せるといった細かな管理が必要になったときには、専用ツールのほうが安心して利用できます。
セキュリティや履歴管理も重要な切り替えの基準です。
ワークフローを管理するツールの切り替えは、利用者によって大きな変化となるため慎重に判断したいところです。
最後に、検討時に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
まず確認したいのは、今の運用でどれだけの時間や手間がかかっているかです。
申請や承認のたびにファイルをコピーして名前を変えたり、メールでやり取りしたりしている場合、見えないコストが積み重なっています。
このような「気づきにくい負担」が積み重なっていないかを把握することが、導入判断の第一歩です。
隠れたコストの把握が重要です。
実際に申請や承認を行っている社員から、「今の仕組みが使いにくい」「フローがどこまで進んでいるかわからない」といった声が出ていたら、仕組みに課題があるサインです。
現場の声を集めることで、「何を改善すべきか」「専用ツールで何が楽になるのか」が見えてきます。
現場の不満・課題感に注目しましょう。
部署が増える予定がある、申請項目が増える、テレワークを取り入れたいといった変化はワークフローを見直すきっかけになり得ます。
今はエクセルで回せていても、1年後には回らなくなっている可能性もあります。
将来を見据えて、早めに専用ツールの選定を始めておくことも一つの選択肢です。
将来の変化への備えも忘れずに。
この記事では、エクセルを使ってワークフローを構築・運用する方法と、メリットや注意点、そして専用ツールとの違いについて解説しました。
エクセルによるワークフローはコストを抑えて導入でき、すぐに着手できる手軽さがあります。
簡単な申請や少人数での運用に適しており、まず始めてみるには有効な選択肢です。
一方で、業務が拡大していく中では、共有のしづらさや進捗管理の難しさ、セキュリティ面での不安が生まれてきます。
特に申請件数や関係者が増えた段階では、専用ツールを使うことで運用の負担が大きく軽減されるケースもあります。
ワークフローシステムを活用し、稟議書の申請・承認業務の効率化を進めてみてはいかがでしょうか。
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