この記事の目次

コンセンサスとは、ビジネス用語のひとつです。「合意形成」を意味する言葉で、組織内の意思決定をする際に多く用いられます。
この記事では、コンセンサスの定義や活用方法を解説します。ワークフローの改善と効率化を目指すときに必要な基本概念として、確認しておきましょう。
コンセンサスとは
コンセンサス(consensus)とは、「合意」や「意見、見解の一致」を意味する名詞です。ビジネスシーンでは、当事者同士における合意を一般に表します。
コンセンサスの対象となる当事者は、同じ会社内の同僚に限りません。プロジェクトを推進する取引先や、あらゆる利害関係者に対して用いられる概念です。
合意した結果だけでなく、合意形成までに重ねられた交渉や根回しの工程もコンセンサスの定義に含むことがあります。
コンセンサスの類語・関連用語・反対語
コンセンサスと似た意味を持つ言葉や、反対の意味を持つ言葉の例は以下のとおりです。
- 類語
- アグリーメント(同意)
- 関連用語
- オーソライズ(認証を受ける)
- 反対語
- 独断、不一致など
類語のアグリーメントは、「同意」と訳せます。コンセンサスとの相違点は、当事者の人数です。アグリーメントは一対一でなされるものを指し、コンセンサスは複数人が関わって形成されます。
オーソライズとは特定の機関から認証を受けることで、コンセンサスよりも対外的にアピールできるニュアンスがあります。
ビジネスにおける使い方
ビジネスシーンでは、合意に至ることを「コンセンサスを得る」や「コンセンサスを取る」などと表現するケースが一般的です。
例えば、経営層が出席するミーティングで予算が承認されたときは、「今期の予算について出席した役員のコンセンサスが得られた」と表現できます。合意に至った結果や経過を含む一連が、コンセンサスを「得る」と表現できます。
合意を取るために根回しする動きのみを表現するときは、コンセンサスを「取る」と表現することが一般的です。
【参考】コンセンサス方式
ビジネス上の会議において、「コンセンサス方式」を活用する場合があります。
コンセンサス方式とは、テーマに対する賛成派と反対派双方の意見を汲み取る方法です。両者の歩み寄り、調整を経て最終的な合意形成を目指します。
また、ネガティブ・コンセンサス方式と呼ばれる会議も存在します。これは参加者全員が反対の立場を取ったときのみ、テーマが否決される方式です。つまり、参加者のうち1名でも賛成の意向を示せば、そのテーマは可決されます。
コンセンサスを取る重要性
コンセンサスを取る重要な理由は「意思決定」や「問題解決」を行う必要があるからです。とくにビジネスにおいて会社間や従業員同士においても異なる見解や意見がでるでしょう。
それぞれの意思を尊重し、協力をして意思決定や問題解決を行うことで仕事が進んでいきます。コンセンサスが上手く取れているとスムーズなビジネスが進行できます。
一方でコンセンサスが取れていないと関係者間で摩擦が起き、非協力的な体制となりスムーズに物事が運ばず、正しい意思決定や問題解決ができません。
コンセンサスを取るべきシーンの例
ここでは、企業でコンセンサスを取るべき3つのシーンを具体例として取り上げます。コンセンサスの形成において、企業活動にもたらすメリットを確認しましょう。
投資リスクやトラブル対応など
大規模な投資をおこなう場合やトラブルへの対応時は、一個の判断ミスによって大きな損害を被るおそれがあります。当事者の意見を正確に集めて、慎重にコンセンサスを得ることが大切です。
例えば、新規事業に対する初期投資は金銭面のリスクがあります。売上の見込みや投資額、いつまでに投資額を回収できるのかなど、さまざまな視点からリスクを検討する必要があるでしょう。
また、企業では突発的なトラブルが発生するケースがあります。トラブルの早急な解決を図るためには、対応方針を事前に決めて社内でコンセンサスを取る必要があります。
複数メンバーが関わるプロジェクトなど
企業のプロジェクトは、ときに部署の垣根を超えて結成されることがあります。複数メンバーが関わる大規模プロジェクトには、コンセンサスが不可欠です。
具体的には、社内の業務改善を目的としたプロジェクトが挙げられます。営業部・管理部・技術部など立場の違うメンバーを巻き込むと、異なる意見が出て対立が想定できるでしょう。社内で方針を策定するには、こうした対立意見を集約し最善の答えが求められます。議論を深めてコンセンサスが取れると、ひとつの方針に向かって協力できる体制が作れるでしょう。
社内会議を上手く進めたいとき
社内会議で自身の担当事業の報告やプロジェクトを共有するシーンなどもあるでしょう。
その社内会議をスムーズに進め、上司や関係者に合意を得るためには、事前の交渉や根回しが重要です。
会議の出席者や決定権を持つ上司に、あらかじめ情報共有することで、理解度が上がるほか、懸念点の払拭をおこなえます。正式なフローを踏む前に合意形成を得やすい状態を作ることで、スムーズな意思決定につながります。
コンセンサス不足によって起きる問題
会社においてコンセンサスが取れない場合、以下の様な問題が発生します。
意思決定のスピードが遅く時間だけが過ぎる
お互いの意見に納得がいかず対立をしたり、議論の目的を見失うと時間だけが過ぎてしまい意思決定のスピードが遅くなります。こうなると企業の売上や成長の大きな足かせになるかもしれません。議論の目的や期日を明確にすることで、具体的且つ建設的な話し合いができます。
議論の進行役を設置し、対立が生じた場合は解決策を見出せるように事前にメンバーの立ち位置なども決めましょう。
現場に決定事項が浸透しない
会議を通じて意思決定できたとしても、コンセンサスが不十分だと思い通りにプロジェクトを進められないおそれがあります。主な原因は、現場への周知不足や認識のずれです。
周知不足や認識のずれをそのままにしてプロジェクトを進めようとすると、プロジェクトの開始後であっても社内での協力体制を作ることは困難になるでしょう。
決定事項を周知してずれを解消するには、情報の共有と適切な記録が大切です。情報が散逸すると、確認不足や伝達の漏れなどヒューマンエラーの発生につながります。
スムーズな意思決定をおこなうステップ
企業の意思決定、問題解決をスムーズに遂行するにはコンセンサスの形成が重要です。
ここでは、コンセンサスを取る流れを3つのステップで紹介します。進めたいプロジェクトや、決めごとがあるときの参考にしてください。
①問題意識の共有、明確化
はじめに、意思決定を要するテーマや現状の課題について共有し、関係者全員の共通理解を得る必要があります。コンセンサスを得るには、前提の共通理解が不可欠です。
新規事業の採択やトラブルの解決など、議論の目的が明確であれば参加者は意見を表明しやすくなり、協力体制が作れるでしょう。
中立の立場から参加者の意見を引き出すファシリテーターがいれば、議論は円滑に進めやすくなります。コンセンサスを得る初期段階では、リーダーシップのある人材が必須です。
②意見の集約と調整
次に、各人から具体的な意見を募り、集約して調整するフェーズに移ります。多くの意見を聞き新たなアイデアを募って課題を洗い出すと、コンセンサスへの基盤が作れます。
テーマによっては、意見の対立を招くおそれがあるでしょう。意見の対立を前提として議論を重ねて重要な論点を解決するプロセスは、コンセンサス形成に欠かせません。
ファシリテーターを務める人物には、参加者や議論の様子を見ながら意見を引き出して集約と調整を繰り返す能力が求められます。
③合意と実行に移す
最後に、合意形成と実行のフェーズに移ります。異なる意見の集約と調整が完了したら、初めて「コンセンサスが得られた」と表現できるでしょう。
合意に至った内容はすべて議事録にまとめて、テキストで全員が確認できる状態を作れると理想です。プロジェクト実行時の指針として議事録を活用できます。
コンセンサスが得られた組織であれば、実行に着手したあとも参加者からの協力が得られるでしょう。結果として、プロジェクト成功の確率が上がります。
コンセンサスを取るポイント
プロジェクトの担当者には、組織内でコンセンサスを取りたい場面が発生します。円滑にコンセンサスを取るには、押さえるべきコツが存在することを知っておきましょう。
ここでは、コンセンサスを取るときの3つのポイントを紹介します。
意思決定フローを明確にする
テーマの策定から意思決定に至るまで、コンセンサスを取るときに発生するフローを明確にする必要があります。
意思決定は、以下の7ステップで構成されるケースが主流です。
1. テーマ・課題を特定する
2. 情報収集する
3. 代替案を用意する
4. 解決策の根拠を検討する
5. 意思決定する
6. 実行に移す
7. 意思決定と実行を見直し、評価する
テーマの共通理解やアイデアの洗い出しができ、コンセンサスを取りやすい方法です。
責任の所在を明らかにする
意思決定や問題解決のシーンには、最終判断を下す責任者が存在します。参加者のうち誰が決定権を持ち、意思決定の責任を負うのかが明確であれば議論はスムーズに進むでしょう。責任者を明確にするプロセスは、現状とコンセンサス形成までの距離感を図る目的においても有効です。
責任の所在が明確でないまま議論をすると、意思決定のスピードが落ちます。
決定権を持つ人物は、議論に際して自ら積極的に参加しましょう。責任者の決定基準を定めて周知すると、円滑な意思決定につながります。
スムーズに承認フロー回す
企業内でコンセンサスを取るときは、複数の関係者から承認を得る必要がある場合がほとんどです。起案者本人が承認フローをスムーズに回せると、素早い意思決定が可能です。
例えば、新規プロジェクトの提案に際して、稟議書を提出するケースがあります。直属の上司や関連部署にあらかじめ根回しや相談をすると、承認までの時間を短縮できるでしょう。
会議の場で初めて共有される情報があると、コンセンサスの形成が遅れます。事前の交渉や根回しは、スムーズな承認を実現させるうえで大切です。
ワークフローシステムがコンセンサスを支援
円滑にコンセンサスを取るには、意思決定までのワークフローを明確に設定することが重要です。ITシステムを導入すると、ワークフローを簡単に設計できます。
ここでは、ワークフローシステムの導入メリットを4つ紹介します。
ワークフローの停滞を可視化できる
ワークフローシステムを導入すると、承認や意思決定のフェーズがどこで停滞しているのかを把握でき、業務の効率化に着手しやすくなります。
例えば、提出した稟議書の決裁が下りないとき、どの承認者まで確認したのかが一目で分かります。停滞状況を踏まえて根回しに取り組むと、コンセンサス形成へ進めるでしょう。
また、ワークフローの承認者は外部から確認可能です。欠勤や外出で承認者が不在のときは、代理承認すると円滑に意思決定を進められます。
柔軟なルート設計が可能
承認ルートを柔軟に設計できる点は、ワークフローシステムならではの強みです。稟議書や会議のテーマに応じて当事者は異なるため、柔軟な対応が求められます。
例えば、並列承認(一括承認)の機能を利用すると、担当者は複数の申請をまとめて承認できます。経費精算のように定型的な申請は、一括承認での効率化が可能です。
申請の様式が多岐にわたるときは、条件分岐の設定が便利です。内容に応じて承認ルートを設定でき、つねに正しい承認者へ回議する仕組みを作れます。
履歴が自動的に残る
ワークフローシステムを利用すると、コンセンサスの形成に至った経緯を自動で保存できます。データに残すことで情報共有の質が高まり、紛失リスクの軽減も可能です。
ワークフローシステムに記録された承認履歴は、社内の誰もが閲覧できます。データ保存によって、実行後でも見直しやすい点がメリットです。
コンセンサスを取るうえで、担当者には決定事項に対する説明責任と、意思決定の透明性が求められます。両者を担保できる点はワークフローシステムの強みです。
情報が一元管理できる
ワークフローシステムでは、提案から承認に至るまでの経緯をすべて一元管理できます。当事者が多い大規模プロジェクトでも、システムひとつで情報管理が可能です。
一元管理のメリットは、確認不足や伝達漏れのヒューマンエラーを防止できる点です。担当者の記憶や紙データに頼らず、システム上で完結できれば理想的でしょう。
承認状況だけでなく、各フェーズで発生した議論や提出内容の修正履歴を一覧で確認できることで、コンセンサス形成に至った流れがつかめます。
システムの導入でコンセンサスが改善した例
株式会社コラボスタイルは、ワークフローシステムの『コラボフロー』を提供しています。
ここでは、コラボフローの導入でコンセンサス形成が効率化した例を2つ紹介します。これらの事例から、ワークフローシステム導入時の際のメリットが把握できるでしょう。
1週間かかっていた承認プロセスが1日に短縮
コラボフローの導入で、承認プロセスを1週間から1日へ短縮できた株式会社エーティーエルシステムズ様の事例です。
同社は自治体や教育機関が抱える課題の解決をICTで支援している企業です。同社が抱えていた課題としてデータ活用を支援する会社として、自社の業務プロセスのデジタル化は必須といえる状況でした。そこで、使いやすさとカスタマイズ性の高さで選ばれたのがコラボフローです。
とくに複数の部署にわたる複雑な人事関連の手続き管理に効果が発揮され、手続き処理の時間が短縮できただけにとどまらず、情報の透明性が増しコミュニケーションや情報共有も強化されたそうです。
株式会社エーティーエルシステムズ様
⇒1週間かかっていた承認プロセスが1日以内に!コラボフローで場所を問わない申請・承認を実現
メール承認の問題を解消
働き方改革や新型コロナウィルスによる在宅勤務の増加に対応した、上智学院様のケースです。
働き方改革以前から、紙を中心にした回覧や決裁フローには時間がかかる、書類がどこに行ったか分からなくなるなどのデメリットが多く、不満の声が多く上がっていました。コロナ禍をキッカケに在宅勤務が増えた結果、回覧や決裁の書類がメールでやり取りされることになりました。増えすぎたメールに対応が追い付かず、1日も早い効率化が望まれることとなったのです。
コラボフローの導入後は優先度の高い回覧や承認フローから段階的に利用されており、担当者の負担は物理・心理の両面でかなり軽減されたとのこと。学校法人として空いた時間を学生のために有効利用することが、現在の理念となっているそうです。
学校法人上智学院様
⇒紙やメールによる文書回覧の煩わしさから解放! 初めてのオンラインツールでも、すんなり導入できた使い勝手の良さ
まとめ
この記事では、コンセンサスの定義や重要性について解説しました。
コンセンサスが取れない場合、意思決定が遅れたり現場へ決定事項が浸透しにくいといった問題が発生します。これは企業の成長や業務効率に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
スムーズな意思決定をするためには、問題意識の共有、意見の集約と調整、合意と実行というステップを踏むことが重要です。また、意思決定フローや責任の所在の明確化、スムーズな承認フローを心がけることがコンセンサスを得る上でのポイントとなります。
ワークフローシステムは、このような課題を解決するうえで有効なツールです。
株式会社コラボスタイルの「コラボフロー」は、書類や手続きを簡素化するワークフローシステムを提供しています。
コラボフローを活用することで、人事関連などの複雑な手続きの時間を短縮が可能です。また、申請や承認が誰で停滞しているか可視化されるため、意思決定における問題点を把握しやすくなります。
意思決定や手続きのスピードに課題を抱えている方は、お気軽にコラボフローの資料をダウンロードください。
ワークフローシステムを活用し、稟議書の申請・承認業務の効率化を進めてみてはいかがでしょうか。
ワークフローシステム「コラボフロー」は直感的な操作でカンタンに社内ワークフローの構築が可能です。